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裏千家茶道では客として茶室に入る時、胸元に懐紙、古帛紗、帛紗を懐中します。
これら3つの中でも古帛紗は柄行もバリエーションに富んでいて、お値段もさまざま。
選ぶ時に一番迷われるのではないでしょうか。
古帛紗とはどういうものか、特徴を絞って言うと以下の通りです。
- 古帛紗とは横五寸三分(15.9センチ)、縦五寸(15センチ)の正方形に近い布です。
- 基本的に織の布でできています
- 裏千家茶道ではお茶席では客も亭主も常に古帛紗を携帯します。
先ずは古帛紗を知って、お気に入りの一枚を選ぶ準備をしましょう!
古帛紗とは
古帛紗とは横五寸三分(15.9センチ)、縦五寸(15センチ)の正方形に近い布で、基本は織の布で作られています。
帛紗が染めの布なのに対して古帛紗は金襴や緞子などの織でできているものが基本です。
古帛紗は裏千家茶道独自のもので、表千家や武者小路では使わないそうです。
客は常に胸元に古帛紗を懐中し、お道具を拝見する時など必要な場面が来たら胸元から出して使います。
亭主側になると水屋で立てたお茶を運ぶときや、点前座から濃茶を楽茶碗以外の茶碗で点てた時に茶碗に添える、などに使います。
お稽古が進んで上級のお点前になるとお道具を古帛紗で清める所作もあります。
亭主側も使わない時は胸元に懐中します。
帛紗と同じように四辺のうち三辺が縫われた袋仕立になっていますが、縁起を大切にするため、「断つ」「切る」という事を避けて、途中で糸を切ったり玉止めを作ったりせずに、長い糸一本で仕立てられているのが本来です。
袋仕立てになっているのは帛紗には「包む」という意味合いがあるからです。
一辺のわになっているところを「わさ」と言い、わさが右にくる状態が正面で、
わさを右に持ってきた状態で縦半分に手前に折り懐中します。
使わない時は折ったままにせず、広げて保管してください。
折ったままだと折り目のところから傷んでくるし、ぺったんこに折り目のついた古帛紗は風情がなくなってしまいます。
名物裂と古帛紗
古帛紗には名物裂(めいぶつぎれ)のものが多く見受けられます。
千利休初め、茶人が名品と認めた道具を名物と言いますが
これら名物の茶器を入れる仕覆や帛紗などの布には、室町時代を中心に鎌倉時代〜江戸の初めにかけて船で他国から運ばれて伝わってきた染織品などが使われました。
その染織品を名物裂と呼びます。
今ではその時に伝わった意匠、図案を織りで再現したものを名物裂と呼び、格調が高い柄だとされています。
最初の1枚は名物裂のものを選ぶとどのような場所でも使えると思います。
古帛紗と季節
名物裂の一つに二重蔓牡丹唐草緞子(ふたえづるぼたんからくさどんす)というものがありますが、この意匠を例に古帛紗と季節感についてお話しさせていただきます。
牡丹は写実的に描かれているものであれば、春牡丹なら4〜5月
寒牡丹なら11〜1月
冬牡丹なら1〜2月
と季節が限定されてしまいますが、 二重蔓牡丹唐草という意匠になると牡丹が抽象化、図案化されたものであり、富貴を表す牡丹、幸運と繁栄をもたらす唐草と合わさった吉祥模様として通年に使用することができ、牡丹が咲かない季節に用いてもTPO的に問題はないとされています。
ただ、自分の楽しみとして、夏には荒磯緞子など波に跳ねる鯉が意匠化された、より涼しげなものを選んだり、同じ二重蔓牡丹唐草でも春先にはパステルトーンのもの、秋にはこっくりとした色のものなどを選んで季節感を楽しむことも個人的にお勧めです。
また、二重蔓牡丹唐草緞子は「蔓が二重の線で描かれた、牡丹唐草の緞子」です。
蔓が一重の線で描かれていれば、「一重蔓牡丹唐草緞子」、そして金糸が織り込まれた裂地になると「二重蔓牡丹唐草金襴」と表わされます。
古帛紗をカジュアルに楽しむ
1枚目に名物裂を選んだら、2枚目は自由に楽しまれるのもお勧めです。
古帛紗には染めのカジュアルなものも販売されていますし、お気に入りの布を見つけたら自分で仕立てることも楽しいですね。
写真は私物ですが、ピンクの古帛紗は野点茶会などで小学生のお子さんなどお若いお客様を迎える時などによく使います。
小さなお雛様を飾るときの敷物に使うこともあります。
真ん中の白っぽいものは白大島です。白大島は高価ですし、お茶席では歓迎されない場面が多いので私にはあまり縁がありませんが、憧れの白大島を古帛紗で持って楽しんでいます。
こちらは親しい友達が我が家に遊びにきてくれた時にキッチンから点てだしする時や、ピクニックのような時に使っています。
紺色に白いお花のものもピクニックや野点、山に登った時、我が家で友人とお薄を楽しむ時に使います。
カジュアルなものは日常使いに楽しめるものですが、正式なお茶会では遠慮した方が無難な場合もあるので、先生にご相談されて使ってくださいね。
まとめ
古帛紗の特徴を簡潔にまとめると以下の通りです。
- 古帛紗とは横五寸三分(15.9センチ)、縦五寸(15センチ)の正方形に近い布です。
- 基本的に織の布でできています
- 裏千家茶道ではお茶席では客も亭主も常に古帛紗を携帯します。
古帛紗を知って、お気に入りの一枚に出会い、より楽しい茶道ライフとなりますように。
今日もありがとうございました!
こまものや七緒
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